自転車の車種

クロスバイク(Hybrid bicycle)

crossbike
マウンテンバイクとロードレーサーの中間に位置する自転車。主に街中を気軽に走行する用途で使われる。マウンテンバイクやロードレーサーのような特殊な状況に特化した自転車は使用状況や運転者の技術などによって運転者が受ける制約が多く、またその特殊性を重視すればするほどパーツや自転車本体が高価となるため自転車初心者には不向きである。そこでロードレーサーやマウンテンバイクのスポーティさとファッション性を生かしつつ、オンロードで囲まれた市街地を快適に走行するための自転車としてクロスバイクが登場した。クロスバイクは競技用自転車として誕生したわけではないので、装備や構造について厳密な定義はなく、メーカーによってその性能やコンセプトはまちまちで曖昧なカテゴリとなっている。

シクロクロス (Cyclo-cross)

cyclocross
冬季に未舗装の悪路(オフロード)で行われる自転車のクロスカントリー競技の一つ。また、オフロードで長距離走行するためのシクロクロス競技用の自転車のこと。シクロクロス競技は、障害物が設置されたオフロードの短いコースを、決められた時間内に何周できるかを競う障害物レース。一般的にコースは3〜4km、競技時間は30分〜60分と短め。急坂や障害板(シケイン)、階段など、乗車したまま越えることが不可能な障害物を、下車し自転車を肩に担いで越えなければならないのが最大の特徴。 シクロクロス車は、オフロード走行が可能なロードレーサーとも言え、ドロップハンドルなど、シクロクロスの外観は一見ロードレーサーとあまり違いが見られない。しかし、スロープの少ないフレーム、泥詰まりしにくいブレーキ、700cの幅広のタイヤ、高めで近めのハンドル、より前傾姿勢にならない(アップライト)乗車姿勢など、オフロード走行、運搬に適した構造になっている。シクロクロス車は、本来は競技用自転車だったが、近年では、軽量で長距離走行に適しているのに加え、ロードレーサーよりも楽な姿勢で乗ることができる、悪路も走行できる、耐久性、耐衝撃性が高いなどの利点から、一般的な乗り手による街乗り車、ツーリング車としての需要も高くなってきている。そのため近年では、ボトルゲージやキャリア装着用の穴がついているなど、ツーリング仕様の完成車も増えている。

ロードバイク(Road bike)

roadbike
アスファルトなど舗装道路を高速走行するために最適化された自転車。「ロードバイク」が正式名称であるが日本ではロードレーサーという名前が定着している。元々は公道での自転車レース(ロードレース)で使用される自転車として発達してきたものである。速度によってペダルの駆動力を最大限かつ効率よく走行力に伝えるための可変速ギアが採用されているほか、ドロップハンドルという独特のハンドル形状、細いタイヤ幅、ダイヤモンドフレーム、少ないスポーク数など随所に高速で走行するための装備、構造が取り入れられている。泥よけやスタンド、ライトなど高速走行に不要なパーツは基本的に装備していないが、公道での安全走行を考慮してこれらのパーツもオプションパーツとして個別に取り付けられるようになっている。自転車の重量がその高速走行性に影響するため、素材の進歩と共に車体の軽量化が図られている。

ランドナー(randonneur)

randonneur
フランス発祥のフランス式旅行用自転車のこと。悪路や起伏のある長距離の道を重い荷物を乗せて走るのに適すると同時に、持ち運び(輪行)に便利な構造になっている。パンクしにくい太めのタイヤ、低速走行に向くフレーム、峠や上り坂に対応できる高めのギア比、乗車姿勢を変えられるドロップハンドル、コントロールしやすいカンチブレーキなどが特徴的。同じくツーリング車として知られるスポルティフと異なり、未舗装路にも適した構造をしている。さらに、前後にキャリアや泥除けをつけたり、ペダルにトークリップやトーストラップをつけたりと、快適性を高める装備をすることが多い。

マウンテンバイク(mountain bike、MTB)

mtb
山岳地帯など未舗装の荒れた走路(オフロード)を走行するための自転車。太いタイヤ幅、タイヤ表面が凸凹形状のブロックタイヤ、荒れ地からの走行衝撃を吸収するサスペンション機構などが特徴的となっている。

クロスカントリー(XC)

山道の長距離走行に特化したバイク。軽量なフレームに軽量なサスペンションフォークが組み合わされる。本格的な競技仕様車ではフレーム素材にカーボンが使われるが、全体的には取扱いの楽なアルミニウム合金が多い。また、カーボンとアルミが組み合わされる事もある。サスペンションシステムとしては長らくリアサス無しのハードテイルフレームが用いられてきたが、カーボン製バイクを中心にフルサスペンションフレームが投入されている。平地からある程度の上りまでをこなす速度域の多彩さから、フロント3段リア9段のドライブトレインが一般的となっていたが、レース用機材としては変速段数より変速作業の容易さを求め、SRAM、シマノ共にフラッグシップコンポネートとしてフロント2段リア10段を投入している。

ダートジャンプ(DJ)

ジャンプスタントに特化した、BMXに近いバイク。小さめで取り回し易いフレームが、堅牢なクロモリか、十分な補強を施したアルミニウムで作られる。着地の衝撃を和らげるためにサスペンションフォークを装備する事が多いが、BMX同様リジッドフォークが使われる事もある。チェーントラブルと故障を招き易い変速機は装備しない事が多い。

オブザーブドトライアル(TR)

障害物を乗り越える動作に特化したバイク。比較的軽量なアルミニウムを使用したフレームが主流で、リジッドフォークを前提とした設計になっている。競技ではサドルや変速を使用しない為、競技仕様車ではサドルやディレーラーが台座ごと省かれている。ブレーキは瞬時に確実な制動力を求めるため油圧駆動のリムブレーキを採用している事が多い。

ダウンヒル(DH)

山を下り降りる事に特化したバイク。数メートルの崖を飛び降りるなど過酷な環境に耐える強度が必要な事から、フレームにはアルミ素材が使われながらも各部に補強が入り車体重量は20kgを超える事もある。コンポネートもハードな使用を考慮された専用の物が使われる。

フリーライド(FR)

ダウンヒル並の過酷な環境を想定しつつも、下りのみに特化せずにより広い範囲に対応するバイク。山までは車で運ぶことを前提に、高速域の使用は考慮されていないため、フロントはアウターギアをバッシュガードとした物が多い。

オールマウンテン(AM)

極端に過酷な環境を想定せず、山中のツーリングを目的として扱い易さを兼ね備えたバイク。山までの自走も考え、コンポネートはクロスカントリーとほぼ同じ物が使われるが、リアのローギア側に34T程度の大きめの物を入れ、上りに対応させている。

BMX(ビーエムエックス)

bmx
競技用の小径自転車。ときにそれに乗って行う競技も指す。短距離レースやスタントに使用される車体は、構造が単純で頑丈。快適性は無視され変速機能も持たないため、長距離走行には不向き。泥よけやスタンド、ライトなど競技に関係ない部品は装備しない。BMXとはBicycle Motocross(バイシクルモトクロス)の略。

折り畳み自転車

oritatami
自転車に乗らないときは小さく折りたたんで持ち運べるような機構を持っている自転車。マウンテンバイクやロードレーサーで折りたたみ機構を有しているものもあるが、タイヤやフレームの大きさゆえに折りたたみ自転車本来の折りたたんだときの携帯性に難があるためあまりメジャーなものとはなっていない。折りたたみ自転車の多くは「フォールディングバイク」という名称で独自のジャンルを確立しており、16インチから20インチの小さめのタイヤを採用しているのが特徴である。折りたたみ方はメーカー各社で様々な方法を採用しているが大きく分けて2つ折り方式と3つ折り方式の2方式に分けられる。3つ折り方式は2つ折り方式に比べてよりコンパクトに折りたためるほか剛性的も有利であるが、折りたたみの機構が複雑になり2つ折り方式に比べて高価になる。

ミニベロ

minivelo
タイヤのホイール径が24インチ以下の小さい自転車のこと。ベロ(velo)とはフランス語で「自転車」の意味。ホイールの中心が低めに位置するのに対し、ハンドルやサドルは通常のシティ車やスポーツ車と同程度の高さにある、独特の構造をしている。中折れ型のフレーム、タイヤ径の小ささに起因する耐衝撃性の低さをカバーするためのサスペンションなどが特徴的。ミニベロは、ホイール径が小さいため持ち運びや収納勝手が利き、漕ぎ出し時や登坂時に必要とする力が小さくてすむ。この構造的な特質から、信号や障害により停止が多い市街地での走行に向く。

ピスト (トラックレーサー)

pist
アスファルトなど舗装道路を高速走行できるように最適化された自転車。ロードレーサーとほぼ同じ形状であるが、固定ギアでブレーキがない。固定ギアでフリーギアがないためこぎ出してから停止するまでペダルをこぎ続けなければならないが、ペダルによるスピードの微調整が可能、という特長もある。駆動部とクランクが直結しているので基本的にはバック走行も可能となっている。ただし日本の道路交通法ではブレーキなしの自転車が走行することは安全上禁じられており、ピストで公道を走行するにはブレーキを取り付ける必要がある

スポルティーフ

sportif
フランス発祥のフランス式旅行用自転車のこと。ロードバイクをベースにした、長距離の舗装路を快適に走るための構造をしている。同じくツーリング車として知られるランドナーとは、スポルティフが舗装路に特化した、ロードバイクベースのツーリング車であるという点でパーツなどが大きく異なる。太めのタイヤ幅、センタープルブレーキ、ロードバイクと共通のホイール径、などが特徴的。さらに、前後に泥除けやライトをつけたり、ペダルにトークリップやトーストラップをつけたりと、快適性を、安全性を高める装備をすることが多い。

シティサイクル

citycycle
シティサイクル (City cycle) とは、現在の日本における自転車の中で、最も一般的で多数を占める日常生活用車種の総称である。俗に「ママチャリ」などとも呼ばれる。 かつて、このカテゴリーは軽快車と呼ばれていたが、日本人のライフスタイルと嗜好の変化に応じて、この分野の製品の形態の変化、多様化が進んだことで、軽快車という枠組みでは捉えきれなくなったために新たに与えられた名称である。日本工業規格JIS D 9111:2005(自転車 - 分類及び諸元)では、従来の「軽快車」に代えて「シティ車」として、「主に日常の交通手段及びレジャーに用いる短中距離、低中速走行用自転車」と定義されている。